家庭のトイレは、一般的に15年程度で寿命がくると言われています。10年を過ぎると、故障や不具合が発生してくるのですが、便器や便座は割れると交換せざるを得ないケースがほとんどです。
実際に、便器や便座が割れているのに放置しておくと、ある日突然、トイレから大量の水漏れが発生してしまった、という話もよく聞きます。
いま、便器や便座は、清掃の手間としても従来のものより圧倒的によくなっています。
便器全体を新しく変える場合、ハイブリット洗浄のものを選択すればとにかく汚れません。ただ、ハイブリット型は、値段が高いこととポンプが電気で動いているため、停電時などは使用出来ないというデメリットもあります。
反面、水圧タイプは停電時にも使えます。
この洗浄方法は、便器の内側に縦に残るスジの問題もなくなります。もともと縦のスジは、水が流れない部分、つまり、水流れの隙間の後ですので、回転して洗浄する最近の方式を使えばこの問題はなくなります。
なお、汚れがつきにくい便器については研究が続けられています。便器は一見ツルっとしていますが、実際には凸凹があり、その部分に汚れが引っかかってしまうのです。この凸凹をなくすために、ナノテクノロジー技術によって「セフィオンテクト」という防汚技術が生まれました。
まず、アサヒ衛陶の「トイレコート」ですが、これは親水性のコーディングを施しており、表面の凹凸を平滑にし汚れの付着を軽減します。細菌やカビも抑制しています。
次に、ジャニス工業の「Gコート」。従来の陶器表面の粗さをおよそ3分の1にし、奇麗な便器の表面を実現しています。
また、TOTOの「セフィオンテクト」も、汚れがつきにくく落ちやすいため、清掃時の負荷もかなり軽減されます。
そして、フチなしの便器もでてきています。これまで便器は、フチ裏に汚れが付きやすく、落としにくかったのです。このフチを無くし、洗浄水をボウル面に沿って「ぐるっと回す」洗浄方式で、節水を可能にし、掃除の簡素化に成功しています。
前述のジャニス工業では、便器の手前のフチを極限まで薄くしています。フチがまったくなく、便器の内側と外側を一気に掃除することができます。
ちなみに、一回の掃除で腕にかかる筋力付加は、5kg(2L入りペットボトル2.5本分)を約30秒間持ち続ける力と同等と言われています。たしかに、トイレ掃除は重労働ですよね。
なお、便座も同様に、汚れにくく、汚れてもその汚れが取れやすいものが出ています。それが「クリーンコート便座」です。特殊樹脂が加工され、撥水性があるために汚れが付着しにくいのが特徴です。